2016年6月19日日曜日

CLTのJASについて

CLTのJAS規格(日本農林規格)が新設されましたことは合板や集成材にJAS規格があるように、材料としてそれらと同じテーブルが出来たという事であり、長年にわたってJパネル(直交集成板)を製造してきた当社にとりましても大変喜ばしい出来事と思っております。

今まではJパネルにはJAS規格がありませんでしたのでユーザー様に対する品質保証はAQ認証を取得して対応して参りました。因みにJパネルを使用した屋根や床の準耐火構造の大臣認定には「AQ認証工場で製造したもの」という条件が付随しております。従来AQ認証はJASでは対応できないような新しい木質建材等について品質性能試験を行い、優良な製品には「AQマーク」の表示が認められ、「JAS」とともに信頼の目印になっております。

当社では現在JAS取得に向けて準備を進めておりますが、これは将来、CLT工法が普及することを見込んでのことであります。林野庁が言っている「JASを取得すれば大臣認定なしで簡単に使える。」はあくまでCLT工法が前提となっているからです。JASを取得し、維持するには少なからぬ費用も掛かりますのでCLT工法の普及を願ってやみません。


ただ、当社JパネルにはJASで定められた、厚み36mm以上に当てはまらないもの(厚み30mm)も半数近くございます。また、在来工法に必要な壁倍率の大臣認定や各種水平構面の試験成績書は既に取得しておりますので在来工法にご利用になる場合には品質面を含め、今まで通り安心してお使い頂きたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

JPウォール開発エピソード

 JPウォールを使った住宅の建前風景

杉の厚板を柱と柱の間に落としこむ板倉造りは千年以上の歴史を持っています。Jパネルを住宅の構造に利用しようとして、この落とし込み工法の壁材としての認定を取得したのは15年前の事でした。その後、Jパネルは構造を兼ねた化粧材として普及してきましたが、壁倍率の大臣認定の果たした役割は少なくありません。しかし15年経過した今、その壁倍率と施工方法では新しいニーズに対応し切れなくなってきました。

JPウォールの開発のコンセプトは「より簡単でより強く」です。この互いに相反する要求を如何したら成立させることが出来るかが技術的なポイントとなりました。ヒントは開発の1年前に行った東京大学稲山教授との共同開発にありました。開発品は今回とは仕様の異なる耐力壁でしたが7倍という高倍率を得ることができました。このときいくつかの重要なノウハウを学ぶことができましたが、その中で軸材と面材の接合は間接よりも直接の方がはるかに強いということと面材は軸材の中心に接合した場合が最も強度を発揮するということが今回の開発の技術的な重要ポイントとなりました。そしてこれらのことを忠実に行うために考え付いたのがビスの斜め打ちでしたが、この方法が思いがけず良い結果ももたらしてくれました。一つはJパネルと軸材を結合すると同時に化粧面(屋内側)を仕上げることが出来ることです。これは補助材を使った従来方式に比べて作業時間の大幅短縮と仕上げ面の改善に繋がりました。二つ目は軸材の溝幅を大きくすることによってJパネルの厚みに対して十分なクリアランスを確保できるために落とし込み作業が非常にスムーズになったことです。結果として「より簡単でより強く」を実現することができました。


開発は最初の方向性がとても大事ですが、今回はその方向性が最良ともいえる方向を向いていたのではないかと思います。(H28.5 大石)

JPS開発当時のイメージ図とカタログ1号




Jパネル製造システム(JPS)は平成9年頃に開発しましたが、当時のイメージ図が引き出しの奥から出てきました。元は鋳物工場だったので、その中に配置するのにとても苦労しました。

パーテーションパーツを作ってみました



Jパネルを利用して間仕切りを作るときには現場で様々な工夫をして製作されていますがこのパーツがあればとても便利です。

溝:幅31mm、深さ10mm
モニター(テスト)販売価格:
70×70×3m  4000円/1

70×35×3m  3000円/1

茶室を開発しました





静岡県工業技術研究所との共同開発商品です。

畳の無い家が多くなっています。また、スケルトン&インフィルで間仕切りの少ない家も増えています。そんな居住空間に癒しの空間を創りたいという思いで開発しました。

床の間と畳(半畳×4)Jパネルのルーバーが特徴です。

設計価格(本体)68万円です。駿河工房さんのアートギャラリーに展示しています。